ゲームを作る算段

Bullet Rainというシンプルなシューティングゲームをリリースした。

- Bullet Rain
- Keep dodging an ever-growing horde of enemies! A simple yet surprisingly addictive casual game!
- https://bullet-rain.pages.dev/
作り始めた理由
昔からゲームが好きで、作ってみたいと思っていた。
ゲームという領域は個人開発・スタートアップが最もつまずく「ニーズ」に向き合う必要がない。間違いなくニーズ自体は存在し、今後のAI発展によって人類は暇になるので、そのニーズはますます強まっていくものと考えている。
その代わりゲームには「面白さ」という軸が存在する。
見方によっては「ニーズ」よりも遥かに難しいかもしれない。
けれど、「面白さ」の方が再現性を作りやすいような感覚があり、まずは作ってみようとなった。
リリースまでの経緯
実は数年前からUnityやら何やらを色々と触ってみたりしていたのだが、自分の実力不足あるいは「面白さ」とは何なのかが途中で分からなくなり、頓挫してしまっていた。
生成AIが登場してからはより実装がしやすくなり、素材も作れるようになってきたので再度モチベーションが高まってきているが、やはり大きな構想をし過ぎているためか途中で挫折してしまっていた。
何だかんだ素材についてもアイテムのような2D画像であれば問題ないが、それをアニメーションさせるとなると現時点では厳しい。3Dもそれなりに作りやすくなってはいるが、こちらも同じくアニメーションがキツい。
ただし、ゲームのロジック部分はAIの得意分野で、そこに関しては相当やりやすくなった。素材の必要のないゲームであれば大部分をAIに任せることができる。
そこで、まずは次のようなゲームを作ってみようとなった。
- アニメーション素材の必要のないゲーム
- 単純なロジックで面白いと感じられるゲーム
- できる限り小さくリリースできるゲーム
今回検証したかったこと
1. 自分の思う面白さと、世間一般が思う面白さの差分
ゲームに求められるものはいろいろとあるとは思うが、一番重要なのは「面白さ」つまり「ゲーム性」だと思っている。しかしこればっかりは主観的な要素もかなりあるので、まずは自分の思う面白さがどれくらい通用するのかを確かめたかった。
永久的に続けられるような難易度だと飽きてしまうので、どちらかというと油断したらすぐゲームオーバーになってしまうようなゲームの方がやる気を掻き立てるという予想を立てた。
本気になればある程度続けることができ、時間が経つにつれ段々と厳しくなってくるような難易度がベストに思えた。
リリースしてXで投稿してみたところ、特にバズったわけではないが、100人以上が計1,000回以上遊んでくれた模様。
コメントやRPにて「地味にハマってしまった」という感想も得られた。(嬉しい!)
シンプルだけど地味に難しいゲームを作りました!
— 柴田 和祈|microCMS (@shibe97) July 24, 2025
3000点超えたら結構すごいと思います!
暇つぶしに遊んでみてください🎮https://t.co/gxqFFRnQqa
2. AIでどれだけプロダクションレベルまで持っていけるか
Claude Codeはとんでもなく素晴らしいツールだが、大きめのゲームを作ろうとすると、コードベースが大きくなるにつれ、頭が悪くなっていく感覚があった。
であれば、小さめなゲームならリリースまで持っていくことができるのか?という部分を試してみたかった。
特にセキュリティ面。
今回はブラウザゲームとして作っており、なおかつシングルページアプリケーションなので、諸々の通信がデベロッパーツールのネットワークタブから見えてしまう。
これはネイティブアプリとの大きな差だと思っており、ゲームの不正を防止するためには基本的にサーバー側での処理を増やさなくてはならない。
一方でそうしてしまうと、サクサクした動きが阻害され、UXを損なってしまう。
その辺りも考慮しつつ、良い感じにセキュリティを守ることができるかが課題であった。
普通に作らせると、不要なものまでAPIのレスポンスに含めていたり、不正し放題だったりした。
そこはやはりまだ人間がチェックしなくてはならない。
3. バイラルがどれだけ効くか
個人開発のゲームを伸ばすためにはバイラルが必要だと思う。
そのため今回はスコアのランキング機能を作成して、良いスコアを取れた時・良いランキングに入れた時にシェアできる画面を用意した。
Just got 3,800 in BULLET RAIN! Can you beat me? https://t.co/wivvRCjtem #BulletRain
— 柴田 和祈|microCMS (@shibe97) July 24, 2025
バイラルを生むにはSNSへのシェアが重要なので、スコアに応じてOG画像が自動生成されるような仕組みも作成した。
ちなみにこの部分はCloudflare Workersで動かすとなると結構複雑でClaude Codeでは難しく、自前で頑張った。
シェア機能が一番時間がかかった・・・が、正直今のところは全然使われていない。
やはりシェアというのはある程度ハードルがあるというのを再確認できた。
これから検証したいこと
1. 海外にも通用するのかどうか
「面白さ」という観点はある程度いけそうな感じがしたので、これが海外に通用するのかも試してみたい。
シンプルなゲームほど国内とのズレも少ない気はする。
広告を出せば簡単に試せるとは思っている。
2. マネタイズができるのかどうか
ユーザー課金はハードルが高いのと、ブラウザゲームでは上述したセキュリティ面などから結構厳しい。
あまりやりたくはないが、やるなら広告によるマネタイズかなとは思う。
そうなるとDAUやPVあたりがKPIとなるだろう。
広告で集客して広告でマネタイズするゲームは最近海外ゲーなどでよく見るが、それなりにハードル高そうに思う。
個人的なプランとしては、まずは広告でそれなりに人数にプレイしてもらい、その一部からバイラルが生まれるのを待つ。
バイラルのループが継続的に発生したら広告を出さずとも一定の流入がある状態となるため、まずはそこに持っていくことがゴールかと思う。
その状態になればゲーム内広告で間違いなくマネタイズは成功するだろう。
というわけで引き続き、ほそぼそとやっていこうと思う。
