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職人タイプの経営について

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  • 組織
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はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術」を読んだ。
スモールビジネス向けの話だが、非常にためになる内容だったのでまとめておく。

起業家に潜む3種類の人格

  • 起業家

未知の分野への取り組み、時代を先取りした行動、わずかな可能性への挑戦をしたいと思っている

  • マネージャー

現実主義で変化を嫌う。管理が得意。

  • 職人

自分で手を動かすことが大好き。手に職を持った個人主義者。

起業家は新しい世界を切り開こうとし、マネージャーは事業の基礎を固めてくれる。そして、職人は専門分野で力を発揮してくれる。
それぞれの人格が最高の働きをすることで、全体として最高の結果を出すことができる。

エンジニア出身の経営者はどうか

弊社はエンジニア・デザイナーの2人で立ち上げた会社で、2人とも確実に職人タイプだ。
起業している時点で起業家気質も持ち合わせてはいるだろう。

思うに、起業初期において職人タイプはかなり効率が良い。
最小人数でやりたいことを実現できるし、コストも最小限なので、失敗しても何度もチャレンジすることができる。

このあたりは以前、別のエントリーでも書いた。

大企業エンジニアを経てからの起業は悪くない|柴田 和祈
起業といえば若いメンバーが中心でイケイケなイメージがあるが、最近は大企業を経験した30代起業も増えてきている気がする。自分もその一人だ。創業から3年ほど経ったので、大企業エンジニアを経てからの起業についてまとめてみる。
https://www.mythinkings.net/starting-business-from-large-company

アーリーフェーズにおいては職人タイプが最強だ。
しかしアーリーフェーズを抜け、グロースフェーズに入ってくると単純な作業量が一気に増え、創業者だけでは処理し切れなくなってしまう。

人を増やせば良いのだが、職人タイプは人の増やし方を知らない。

これはまさしく弊社に当てはまることで、仕事を人に任せることやマネジメントが苦手だ。
おそらく個人開発者等も同様で、プロダクトが大きくなってくるとバイアウトをするケースが多いだろう。(個人開発者の場合、それこそが成功の形とも言える)

それ以上の成長を望むのであれば、職人タイプから卒業しなくてはならない。

能力があればあるほど、そこには葛藤がある。
誰かに任せるよりも自分でやった方が早かったり、質の高いものを作ることができるからだ。

それを解決する一つの方法として、自分以上の職人を雇うことが挙げられる。

しかし、プロダクトの初期フェーズにおいて、職人タイプである自分以上にできる人を雇うのはなかなか難しい。
もちろん実際は自分以上に優秀な人なんてゴマンといるのだが、リスクを負ってまで来てくれる確率は低い

とにかく自分がいなくても回る状態を作れるかどうかにかかってくる。

仕組み作り

そのために必要なのが「仕組み作り」だ。
人の雇い方を知らない職人タイプも仕組み作り自体は得意であるケースも多い。

誰でもこなすことができるようなマニュアルを準備し、理念を浸透させ、実践させる。
やることはそれだけである。

他の人に任せてもうまくいくような事業をつくろう。
どこでも誰でも、同じ結果が出せるような事業の試作モデルをつくるところから始めよう。


これは別の言い方をすると、「再現性」を作ることが大事という話だ。
また、今の世の中においては「誰でもこなすことができる仕事」はだいたい自動化できると思っている。
マニュアルがある = ロジックが定まっているというわけだ。

MA(Marketing Automation)やCRMツールがこのあたりでは大活躍しそうである。
自動化ができると、全体的な作業量は大幅に減り、人がやらなくてはならない重要な仕事のみが残る。

もちろん、そこに対しては人を採用する必要がある。

組織作り

いよいよ職人からは卒業して、組織作りをしていかなくてはならない。
もう限界が来ている。
卒業するためには、信じ合える仲間を増やしていく他ない。

事業を成長させるためには人手が必要で、人手を増やすためには事業を成長させなくてはならない。
ニワトリ・タマゴ問題に近しいが、それを解消するのが資金調達なのだ。と最近は思っている。

また、入社を承諾してくれたとしても、実際の入社までにはほとんどの場合2, 3ヶ月のラグがあることが分かってきた。(当たり前だが笑)
それも見越して準備していく必要がある。

「経営は人・物・金」とはよく言ったものだ・・・。

振り返り

考えなくてはならないことが多すぎる・・・。
早々に権限を委譲していかないとマズい。

ありがたいことに事業の成長は待ってくれないので、それに遅れを取らないように組織作りの方も準備していかなくては。

まとめ

自分より優秀な人を雇うか、それが厳しいのであれば、誰が担当しても質が落ちないような仕組み作りが必要。

柴田 和祈 X GitHub
株式会社microCMS 共同創業者 / デザイナー兼フロントエンドエンジニア / ex Yahoo / 2児の父 / 著書「React入門 React・Reduxの導入からサーバサイドレンダリングによるUXの向上まで 」

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