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J-KISSによる資金調達

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2021年9月27日、J-KISSでの資金調達を行なった。

実は当初はまだ資金調達を行う予定ではなかった。
事業は成長していたし、ぎりぎり黒字化するかしないかくらいの範囲で人を増やしているような状況だった。
現時点で資金調達を行うよりも、もう少し売り上げを伸ばしてからシリーズAとして資金調達を行なった方が効率は良いと考えていた。

例えば、企業価値が10億円だとすると株式10%放出で1億円の資金を調達できるが、企業価値が40億円だとすると同じ株式放出でも4倍の4億円を調達可能だ。

しかし、実際に企業価値を4倍に上げるのはそこそこ時間がかかる。
単純に売り上げを4倍にすると言い換えても良い。

少なくとも1年近くはかかるので、それまではちょっとずつ人を増やしていく必要がある。
一方でプロダクトに必要な人員は絶対的に足りていなかった。
本当に全方位足りておらず、ちょっとずつ雇っていてはプロダクトが回らないという状況に陥りつつあった。

J-KISS

そんな時、J-KISSの存在を知った。
これは未来のシリーズA資金調達を想定し、その未来のタイミングでの企業価値をベースに現時点で資金を前借りできるような制度だ。
(通常、次回調達時にバリュエーションが定まるという言い方をされる)
明らかに今後も成長し続けることが見えている場合に非常に有効だと思われる。

例えば、1年後に企業価値が40億円くらいになる事業計画だとしたら、40億円をベースに「今」1億円調達させてください、ということができるようなものだ。
そうなるとさすがに投資家がリスクを負いすぎなので、「バリュエーションキャップ」や「ディスカウント」という概念が存在する。

詳しくはこちらのCoral Capitalの記事がわかりやすい。

投資契約書&J-KISS(コンバーティブル)の仕組み(後編) | Coral Capital
毎月開催しているシードファイナンス勉強会の内容を、1本3分で読みきれる図解記事x5本として連載しています。最終回となる第5回のテーマは「投資契約書&J-KISS(コンバーティブル)の仕組み」の後編です。
https://coralcap.co/2019/12/seed-finance-05/

簡単に言うと、シリーズA調達時のバリュエーションが高ければ高いほどJ-KISSで支払った分の株式比率が低下していってしまうため、株式転換時の上限バリュエーションを定めることができるのが「バリュエーションキャップ」だ。
バリュエーションキャップを40億円としておけば、たとえシリーズA調達時に50億円というバリュエーションになっていても40億円として株式比率を計算可能になる。
加えて、リスクを負って事前に投資を行う対価として「ディスカウント」という概念がある。
J-KISSでは一般的には20%引きで株式転換が可能となる。

これら「バリュエーションキャップ」と「ディスカウント」をそれぞれ適用して、投資家側が有利な方で株式転換が行われる。

感想

J-KISSは未来の成長を担保に資金調達を行うので、成長に対するプレッシャーは普通の資金調達以上かもしれない。
一方で起業家サイドとしては株式放出を抑えて、スピーディ(今回は相談開始から2ヶ月程度)に資金調達が行えるのでかなりメリットは大きいと感じた。
通常、資金調達といえば半年から1年ほどかかると言われる。
それに費やされる労力も大きく、スタートアップとしては資金調達よりもプロダクトに注力したいという想いを持つ人も多いだろう。

イメージとしては株式放出で時間(1年程度)を買った感じだ。
1年間でやっと貯められる額を現時点で得られるのは明らかなメリットだ。
それによって成長速度も高まり、正の循環が生まれるはずだ。(生まれてほしい)

というわけで今まで以上に気を引き締めてやっていきます!

柴田 和祈 X GitHub
株式会社microCMS 共同創業者 / デザイナー兼フロントエンドエンジニア / ex Yahoo / 2児の父 / 著書「React入門 React・Reduxの導入からサーバサイドレンダリングによるUXの向上まで 」

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